野々川尚先生 講義 第1回「食から日本が滅ぶ」 【5話】

~オーストラリアの農業~

大体アメリカもそうなんですが、オーストラリアの夏は、乾季で雨が降らないので井戸水なんです。
井戸を掘ってくみ上げて円形の畑に散水するんです。
それぞれの円形の畑の中心に井戸が掘ってあって、大型のスプリンクラーでぐるーっと散水する。

 

だいたいこの一つの円が40ヘクタールあります。野球のグランドが40個分くらい。
だから畑の真ん中に立っちゃうと畑が丸いということに気づかない。
直径でいうと800~900メートルあります。

 

これがだいたいオーストラリアの農業で、井戸は150メートルくらい掘ると水がふんだんに出てきます。
オーストラリアって1,000メートルぐらい下に岩盤があるんですよ。
そこに冬に降った雨が全部貯まっているんです。

 

スプリンクラーが1周回るのに8時間かかるんです。
それで一年目は大失敗して。
この収穫期は人参を一日に200トン収穫します。そのくらいのキャパがないと作業が終わらないので。
オーストラリアの品種です。日本の品種じゃない。

 

一年目、最初に行った10月の中ぐらいに種をまいたんです。
11月に気温が55度になって、地表の温度が70度になって、その時蒔いてあった人参が全部焼けて、全滅です。

 

本来、植物の生理からいくと、夏の暑い時期に上から水を撒くなんて愚の骨頂なんです。
日本ではやってはいけないこと。
でもさすがにここの畑は夏場は平均気温が43度なんで、ある日一日だけ55度になったんです。
それで水撒いたって一周8時間でしょ?
最初に撒いたところはからっからになっちゃう。水をかけて冷やすんです。地下水だから。

 

そういう目にあったから、マネージャーと相談したんです。 「スプリンクラーを反転できるか?畑半分を犠牲にして、20ヘクタールを往復させると4時間に一回でしょう?それで行こう!」となった。 それでやって、翌年の4月に間に合ったんです。

 

人参は3月4月だけ日本へ輸出しました。2000トン。
なぜかというとこの時期は日本で人参が取れないんです。それを狙ったんです。高値になるので。
唯一取れるのが徳島県で、徳島県の一人勝ちで徳島では人参御殿が建っていた。
そこへオーストラリアの企業が目をつけたんですね。

 

6回やって全部失敗したので、日本の品種がわかっている人がいないとだめだということで、 西オーストラリアからオーストラリア政府に頼んで、私のところへ連絡が来た。畑を見せてくれと。

 

ちょうど人参の収穫が終わったところで、昼寝してたところに電話がなって、話を聞いていると「なんか面白そうだなぁ」と思って、
スケールでっかいでしょ?
そういうところでやってみたかったんで、「一度見てみたい!」って言ったら、すぐチケット用意してくれて、私がパスポートとるのが遅くなったからちょっと遅れたけど、実際見て「絶対可能性ある!」と思った。

 

私が行かなくても誰かが行ったんです。 でもその誰かが行ったときに、オーガニックじゃなかったら結局農薬漬けの野菜が日本に輸入されちゃうじゃないですか?
私が北海道でやっていたのは、やっぱり、自分が作っている野菜を、見ず知らずの人が知らずに食べているうちにその人の体が健康になる!っていうのが僕の信念としてやってきたので、規模が大きくなるということは、それだけたくさんの人に食べてもらえ健康になってもらえるということだから、オーストラリアへ行ってオーガニックをしてみようと思って。

 

次回につづく…

ABOUTこの記事をかいた人

1967年(昭和42)長崎県佐世保市生まれ。福岡&北海道在住。
実業家、投資家。縁の下の力持ち
数年前に急性前骨髄救性白血病を患うも完全復活。 健康に目覚め現在は野々川尚氏と共にオーガニック農業を日本中に普及させる活動を行なっている。